〒572-0029 大阪府寝屋川市寿町31番1号 TEL : 072-835-7461

相続についての民法改正Ⅱ2019.05.06

税制情報

5月に入り元号が令和に代わり日本は新時代を迎えることになりました。
天皇陛下と皇后さまは明らかに若くなった事実により、海外との関わりが
今後変わっていくのではないかという好奇と期待でわくわくしますね。
天皇陛下と皇后さまの若いころのご留学やお仕事でのご経験から生まれる
新しい視点、繋がりなどをどのように展開されていかれるのか、とても楽しみ
です。

さて、長らく放置しておりました。相続についての改正を再開します。

1.預貯金の仮払い制度の創設

預貯金は、遺産分割の対象で遺産分割協議までは、原則被相続人の入院費用や

葬式費用のための被相続人の預貯金引き出しが不可能でした。

相続人に支払い能力があればよいのですが、そうでない場合は被相続人の費用を

支払うことが出来ない、いわゆる銀行口座凍結という事態が発生することとなっ

ていたのです。

今回の改正では、家庭裁判所の手続きを経て預貯金の全部または一部を仮払い

でき、家庭裁判所の判断を経なくても預貯金の3分の1に法定相続分を乗じた

額のうち150万円までであれば、各相続人が単独で預貯金を引き出せるように

なりました。

 

2.遺留分侵害額請求権

遺留分権利者(遺言で財産を取得できなかったが最低限請求可能な権利を得た者)

から減殺請求が行われると請求された方からは相続等で取得した財産を返還する

ことが原則で、金銭による支払いが例外となっており返還対象財産が土地であれば

減殺請求者と共有名義にしなくてはならない事態が生じていた。

改正により遺留分侵害額に相当する金銭による請求を原則とすることにあらため

遺言者の意思を尊重し、遺言通りに相続ができるようになる。

なお、金銭請求を受けた者がすぐに金銭を支払うことが不可能な場合、裁判所が

金銭債務の支払いに期限を許与することができます。

 

3.自筆証書遺言

これまで、自筆証書遺言書は自宅保管または弁護士預かりとなっており、また、

相続発生時は、家庭裁判所で相続人全員の立ち合いのもと、検認の必要があった。

改正により、法務局での預かりが可能となり家庭裁判所での検認の必要がなくなり

法務局に請求できるようになった。

また、財産目録においてはワープロ等での作成、通帳の写しや不動産登記事項全部

証明書の添付を認めるなど、全てを自筆で書く必要がなくなり簡素化された。

 

4.特別寄与分

親と同居する長男の嫁は、義理の両親の介護をしても相続権はないため

相続が発生したとしても1円の財産を相続する権利はない。

その貢献度に対する財産権が全くないのは、あまりにも気の毒なことで

ある。

そこで、その貢献度に対して、特別寄与料として金銭による請求が可能

となった。

特別寄与料の請求のためには、①介護に関する記録を残す ➁領収書など

自分が出費した記録を残す ③他の兄弟姉妹に介護の状況を通知しておく

などの条件が必要である。

 

以上、相続についての民法改正の主な変更点を記載しました。

今までの不便さや不都合が大きく改正されたようです。

より良い円満な相続になりますように。